お金・保険・資産のイメージ

お金・保険・資産

夫婦間でお金を渡すと贈与税?生活費・名義移動でセーフな線引き

この記事の要点

  • 夫婦でも税法上は別々の個人。理屈の上では夫婦間のお金の移動も贈与になり得るが、生活費・教育費として通常必要な範囲のやり取りは贈与税の対象外とされます。
  • それ以外の財産の移動は、暦年課税で受け取る人ごとに年間110万円の基礎控除が目安とされます。
  • 注意すべきは「生活費の形をした貯蓄」。渡された生活費の余りを配偶者名義で貯蓄・運用すると、贈与や名義預金の論点が生じ得るとされます。
  • 住宅資金は金額が大きいぶん線引きが厳しめ。出資割合と登記の持分割合を一致させるのが基本の目安とされます。
  • 線を引く軸は金額より使われ方。「必要な都度・実際に充てる・名義と実態の一致」の三点で考えると整理しやすくなります。
  • 判断に迷う移動や過去の分が心配なときは、税務署の相談窓口や税理士など専門家への確認が確実です。
生活費は原則非課税。ただし「生活費の形をした貯蓄」になった瞬間に性質が変わる──線を引くのは金額ではなく、使われ方です。

「この振込、大丈夫だろうか」という小さな引っかかり

毎月、生活費をパートナーの口座へ振り込む。住宅の頭金を一方が多めに出す。使っていない口座から、家族の口座へまとまった額を移す。どれも共働き世帯の日常ですが、ふとした瞬間に「夫婦の間でも贈与税がかかるのでは」という考えがよぎることがあります。そして多くの人が、そのまま検索画面を閉じます。今さら人に聞くのは少し恥ずかしく、かといって放っておいて損をするのも怖い——この記事は、その宙ぶらりんを静かに片づけるためのものです。

出発点として押さえたいのは、夫婦は家計の上では一つでも、税法上は別々の個人だという構造です。だから理屈の上では、夫婦間のお金の移動も贈与になり得ます。ただし、日々の生活費のやり取りまで課税するような制度にはなっていません。怖がるべき部分と、怖がらなくてよい部分を分けることが、この問題のほぼすべてです。

原則はシンプル──生活費は非課税、それ以外は年110万円が目安

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税です。一般的な暦年課税では、受け取る人ごとに年間110万円の基礎控除があるとされ、これを超えた部分に課税されるのが基本の仕組みです。

一方で、夫婦や親子のように扶養義務のある間柄で、生活費や教育費として通常必要と認められる範囲のお金のやり取りは、そもそも贈与税の対象外とされています。家賃や食費、子どもの学費や医療費といった、暮らしを回すためのお金がここに含まれると一般に説明されます。

つまり、毎月の生活費の振込そのものは原則として心配のいらない領域です。問題になり得るのは、「生活費の形をした、生活費でないお金」——次の節で見る境界線です。

世帯年収別・iDeCo等による年間節税額の目安
年間の節税額(万円)0481216約5.5万円世帯年収〜700万円約8.2万円〜1,000万円約13.5万円〜1,500万円iDeCoの掛金は全額が所得控除。税率が高い高所得世帯ほど戻りが大きい。

※掛金上限・税率・家族構成・他の控除で大きく変動します。実額はシミュレーションでご確認ください。

セーフとされやすいもの、注意とされやすいもの

一般的な整理を表にすると、次のようになります。個別の判断は状況によるため、あくまで考え方の目安としてご覧ください。

お金の動き一般的な扱いの目安
毎月の生活費・家賃・食費の振込通常必要な範囲なら非課税とされる
子どもの学費・医療費・出産費用の負担同様に、必要な都度の負担は対象外とされる
生活費の余りを配偶者名義で貯蓄・投資贈与とみなされる可能性があるとされる
高額な宝飾品・車などを買い与える生活費とは言い難く、課税対象になり得るとされる
一方の収入を配偶者名義の口座で運用名義預金の論点が生じ得るとされる

並べてみると、軸が見えてきます。「必要な都度、実際にその用途へ充てられているか」。生活費は、渡した金額の大小より、生活のために使われたかどうかで性質が決まる——これが一般的な考え方とされます。

見落としやすい「名義預金」──貯めた瞬間に性質が変わる

境界線の中でも特に知られていないのが、名義預金の論点です。生活費として受け取ったお金の余りを、こつこつ自分名義の口座に貯めていく。悪意のかけらもない習慣ですが、税務上は「名義は妻、実質は夫のお金」と評価されることがあるとされます。いわゆる、へそくりも構造は同じです。

この論点は、贈与税として今すぐ問題になるというより、相続の場面で表面化しやすいと一般に言われます。名義預金と判断されると、配偶者名義の残高が本人の相続財産に足し戻されて計算され、想定外の税負担につながることがあるためです。

贈与としてきちんと成立させるには、「あげた・もらった」の合意があり、受け取った側が自分でそのお金を管理し使える状態にあることが要素になるとされます。「渡したつもり」「もらったつもり」だけでは足りない場合がある、と覚えておくと整理しやすいでしょう。

住宅資金は金額が大きいぶん、線引きがシビアになる

共働き世帯で最も贈与の論点が生じやすいのが、住宅の購入資金です。たとえば頭金を一方が多く負担したのに、登記の持分は半々にした場合、負担額と持分の差額が贈与とみなされる可能性があるとされます。基本の目安は「出資割合と持分割合を一致させる」ことです。

ペアローンの返済を一方の口座からまとめて引き落とす、繰上返済の原資を一方だけが出す、といった場面でも同じ論点が生じ得ます。金額が大きく、登記という形で記録が残るぶん、日々の生活費より線引きが厳格に見られやすい領域と考えておくのが安全です。

なお、婚姻期間20年以上の夫婦には、居住用不動産などの贈与について2,000万円まで控除される特例(いわゆる、おしどり贈与)があるとされます。ただし適用には要件があり、相続まで含めた損得は世帯ごとに異なるため、利用を考える場合は税理士など専門家への相談が確実です。

お金・保険・資産のイメージ
お金・保険・資産のイメージ

共働き世帯の実務──「説明できる形」にしておく

ここまでの構造を踏まえると、日々の実務はそれほど難しくありません。第一に、生活費口座への入金は毎月定額・用途は生活費とルール化しておくこと。振込メモに「生活費」と残すだけでも、後から性質を説明しやすくなります。

第二に、貯蓄や投資は自分の収入から、自分名義の口座でを基本形にすること。名義と原資が一致していれば、名義預金の論点はそもそも生まれません。収入差があって一方の名義に寄せたい場合は、基礎控除の範囲での贈与として記録を残す方法が一般に知られていますが、設計は専門家と詰めるのが安心です。

第三に、目安として110万円を超えるような資金移動の前には一度立ち止まること。それが生活費なのか、贈与なのか、単なる口座の付け替えなのかを夫婦で言葉にしておくだけで、将来の説明力がまったく違ってきます。迷ったら、税務署の相談窓口や税理士に確認する——その一手間が、いちばんの節約になることもあります。

まとめ

夫婦間のお金は、税法上は他人同士の移動と同じ土俵に乗ります。それでも、生活費・教育費として通常必要な範囲は非課税とされており、日々の振込に怯える必要はありません。線を引くのは金額ではなく使われ方——「必要な都度・実際に充てる・名義と実態を一致させる」の三点が判断の軸になります。

気をつけたいのは、生活費の余りの貯蓄・運用と、住宅資金の負担割合。この二つは金額が積み上がりやすく、後から表面化しやすい領域です。本記事は一般的な整理であり、個別の課税判断は状況によって異なります。まとまった資金を動かす前や過去の分が気になるときは、税務署や税理士など専門家に確認したうえで、安心して家計を回してください。

わが家の資金移動を「説明できる形」にするチェック

  • 生活費口座への入金は毎月定額にし、振込メモに「生活費」と用途を残す
  • 生活費の余りの扱い(戻す・貯める・誰の名義か)を夫婦で言葉にして決めておく
  • 貯蓄・投資は「自分の収入から自分名義の口座で」を基本形にする
  • 目安として年110万円を超える資金移動の前に、贈与にあたらないか一度確認する
  • 住宅購入時は出資割合と登記の持分割合を一致させる前提で専門家に相談する
  • 通帳や振込記録など「何のためのお金か」を後から説明できる材料を残しておく

よくある質問

毎月の生活費を配偶者の口座に振り込んでいます。贈与税はかかりますか?

一般に、夫婦間で生活費や教育費として通常必要な範囲のやり取りは贈与税の対象外とされます。ただし、振り込んだお金のうち生活費以外(貯蓄や投資など)に充てられた部分は課税対象になり得るとされるため、気になる場合は税務署の相談窓口や税理士に確認すると安心です。

生活費用の共通口座を妻名義にしています。問題になりますか?

生活費として実際に使われている限り、大きな問題になりにくいと一般に考えられています。一方で、残高が大きく積み上がっていくと名義預金の論点が生じ得るとされます。定期的に残高の性質を夫婦で整理し、記録を残しておくことが目安になります。

夫の収入を原資に、妻名義のNISA口座で投資しています。大丈夫でしょうか?

収入のない・少ない側の名義で運用する資金は、贈与としての整理が必要になり得るとされます。年110万円の基礎控除の範囲で贈与し、合意と記録を残す方法が一般に知られていますが、適切な形は世帯の状況によるため、税理士など専門家への相談をおすすめします。

これまでの資金移動が贈与にあたっていたかもしれず、不安です。

まずは、いつ・いくら・何に使ったかの事実を整理するのが第一歩です。生活費として使われた分は通常問題になりにくいとされます。判断に迷う部分は税務署の相談窓口や税理士に相談を。一般に、自主的に申告した場合は加算税が軽減される仕組みもあるとされています。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法務・税務・投資・医療上の助言ではありません。税率・控除・限度額・助成などの制度は改正により変わります。最新かつ正確な情報は公式機関の発表や専門家へのご確認をお願いします。

文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)

次の節目が来る前に、白書をひらく。

LINEで、あなたの世帯のステージに合わせた「次にやること」をお届けします。

LINEで世帯白書を受け取る

※ LINE公式アカウントは準備中です。