
介護保険で使えるサービス一覧と、自己負担の抑え方
この記事の要点
- 介護保険のサービスは「自宅に来てもらう」「通う・泊まる」「道具を借りる・買う」「住まいを整える」の4系統で覚える。名前を全部覚える必要はない。
- 入口は市区町村の要介護認定。結果が出るまで約1か月。だから「まだ早いかも」で待つのが一番損をする。迷った時点で申請する。
- 費用は原則1〜3割負担。月の自己負担に上限があり、超えた分が戻る制度(高額介護サービス費)がある。最初の一回だけ申請すれば、あとは自動で振り込まれる。
- ケアマネジャーへの相談は無料。サービスの設計役であり、相性が悪ければ替えていい相手だと最初から知っておく。
- 本記事の数値は2024〜2025年時点の一般的な制度。限度額や助成額は改正で動くため、最新は市区町村・地域包括支援センターで確認を。
目指すのは完璧な介護ではなく、続けられる介護です。
サービスは4系統で覚える。名前は後回しでいい
親の介護が現実になった日、最初にぶつかる壁はだいたい同じです。「で、結局なにが使えるの?」。役所やケアマネのパンフレットには横文字を含む数十種類のサービス名が並び、似た言葉も多い。一つずつ読んでも、頭には残りません。
名前は後回しでかまいません。先に骨組みだけ持ってください。介護保険のサービスは、ほぼこの4つの引き出しに収まります。
- 自宅に来てもらう(訪問系):ヘルパーや看護師が家に来る
- 通う・泊まる(通所・短期入所系):日中だけ施設に通う、数日泊める
- 道具を借りる・買う(福祉用具系):車いす・介護ベッドのレンタル、入浴用品の購入
- 住まいを整える(住宅改修):手すりの設置、段差の解消
自宅での暮らしを、来てもらう・通う・道具・住まいの4方向から支える。この4つの引き出しさえ頭にあれば、ケアマネから提案された個別サービスが「家のどこを埋めるための一手なのか」がその場で読めるようになります。
※要介護度・所得・地域・サービス内容で大きく変わります。自己負担割合もご確認ください。
系統別:どのサービスが、どの場面で効くか
4系統それぞれの代表的なサービスを、効く場面とセットで並べます。全部使う必要はありません。むしろ全部盛りは破綻します。親の状態と、自分たちが息切れせず続けられる範囲で組むのが鉄則です。
| 系統 | 主なサービス | どの場面で効くか |
|---|---|---|
| 自宅に来てもらう | 訪問介護(ヘルパー)、訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリ | 食事・入浴・排せつの介助や健康管理を自宅で。日中ひとりになる時間の見守りにも。 |
| 通う・泊まる | 通所介護(デイサービス)、通所リハビリ(デイケア)、短期入所(ショートステイ) | 日中の活動・入浴・リハビリを施設で。出張や葬儀で家を空ける数日は、ショートステイが命綱になります。 |
| 道具を借りる・買う | 福祉用具貸与(車いす・介護ベッド等)、特定福祉用具販売(ポータブルトイレ・入浴いす等) | 立ち座りや移動がつらくなったとき。基本はレンタル、肌に触れる衛生用品だけ購入対象です。 |
| 住まいを整える | 住宅改修(手すり設置、段差解消、引き戸への変更 等) | 転倒を防いで自宅で安全に動けるように。原則として一定額まで保険が使えます。 |
このほか、訪問・通い・泊まりを一つの事業所が柔軟に組み合わせる「小規模多機能型居宅介護」などの地域密着型もあります。働きながらの介護なら、現実的な型は決まっています。訪問とデイサービスを軸に据え、いざというときのショートステイの枠だけ先に確保しておく。これが共働き世帯の標準装備だと思ってください。
申請から利用開始まで:入口は「要介護認定」
サービスは思い立った日に始められません。要介護認定という関所を必ず通ります。流れはこうです。
- 相談・申請:市区町村の介護保険窓口、または地域包括支援センターに相談し、要介護認定を申請。本人が動けなくても、家族や地域包括支援センターが代行で申請できます。
- 訪問調査と主治医意見書:調査員が自宅などに来て心身の状態を確認。あわせて主治医が意見書を書きます。
- 認定結果の通知:要支援1〜2、要介護1〜5などの区分が判定され、通知が届く。申請からここまで、通常およそ1か月。
- ケアプランの作成:要介護ならケアマネジャー、要支援なら地域包括支援センターが、本人・家族の希望を聞いて利用計画(ケアプラン)を立てます。
- サービス利用開始:計画に沿って事業所と契約し、ようやく利用が始まります。
ここだけは強く言います。迷っている段階でも、先に申請してください。認定には1か月かかり、状態が変われば後から区分変更も申請できる。つまり早く出して損はない。「まだそこまでじゃないかも」と様子を見るほど、本当に必要になった日の空白が長くなります。デイの空き枠も、いい事業所ほど埋まっています。動ける時間が限られている共働きこそ、入口だけは前倒しで押さえる。これが効きます。
費用の基本:1〜3割負担と「月の上限」
自己負担は原則1割。所得が一定以上なら2割または3割です(2024〜2025年時点の一般的な仕組み)。残りは保険が持つので、全額自費に比べれば桁が違うほど軽い。ここは医療と同じ感覚で大丈夫です。
もう一つ、外せない要素があります。要介護度ごとに1か月に保険で使えるサービス量の上限(区分支給限度基準額)が決まっている点です。上限の中なら1〜3割で使えますが、はみ出した分は全額自己負担。要介護度が重いほど上限は大きくなります。
だから費用を考えるときの軸は「1回いくら」ではありません。「月の上限という決まった器に、何を優先して入れるか」です。この配分こそ、ケアマネと膝を突き合わせて決める本丸の作業になります。
自己負担を抑える:取りこぼしやすい4つの制度
負担は、制度を知っているかどうかで体感がまるで変わります。代表的な軽減策を挙げます。いずれも2024〜2025年時点の一般的な制度で、金額や要件は改正・所得・自治体で変わります。詳細は市区町村で確認を。
- 高額介護サービス費:1か月の自己負担(1〜3割分)が一定額を超えたら、超過分が戻ります。上限は所得に応じて段階的。多くの自治体では初回に申請すれば、以降は自動で振り込まれます。この最初の一回を忘れないこと。
- 高額医療・高額介護合算制度:医療と介護の自己負担を1年単位で合算し、世帯の上限を超えた分が戻る。親が入退院を繰り返し、医療費もかさむ時期に効いてきます。
- 負担限度額認定(施設利用時):ショートステイや施設入所での食費・居住費を、所得・資産が一定以下なら軽くする仕組み。事前の認定申請が要ります。
- 福祉用具・住宅改修の保険適用:手すりや段差解消の住宅改修、入浴用品の購入は、定められた範囲で保険が使えます。条件は一つ、工事・購入の前にケアマネへ相談し、所定の手続きを踏むこと。良かれと思って先に発注すると対象外になり得ます。順番を間違えないでください。
共働き世帯がいちばん落とすのは、難しい制度ではなく「払い戻しの申請忘れ」です。高額介護サービス費のように一度の申請で以後が自動化される制度は、最初の手続きだけ確実に潰しておく。それだけで、その後の手間と取りこぼしが同時に消えます。住まいやお金まわりの段取りに迷ったら、まず全体像を整理する診断から入るのも手です。

働きながら続けるために:窓口と判断軸
制度を一人で完璧に暗記する必要はありません。実務では、次の窓口を「自分のチーム」として使い倒すのが正解です。
- 地域包括支援センター:介護の総合相談窓口。「何から手をつければいいか分からない」段階で、まず電話する場所。相談は無料です。
- ケアマネジャー:認定後のサービス設計の中心。費用配分まで一緒に走ってくれます。相談・計画作成に自己負担はありません。
- 市区町村の介護保険窓口:申請や各種給付・払い戻しの手続き先。
とくにケアマネは、これから何年も付き合う相手です。連絡が取りやすいか。仕事の制約や「ここまでしか無理」という本音をくみ取ってくれるか。提案に納得感があるか。この3点は、遠慮なく値踏みしてかまいません。合わないと感じたら、ケアマネは替えられます。決めるのはあなたです。「この人となら続けられる」と思えるかを、最後の判断軸に置いてください。
優先順位で迷ったときの指針も一つだけ。月の上限という限られた器に何を入れるか悩んだら、「本人の安全」と「家族が倒れないこと」の2つを上位に固定する。これで選択がぶれません。目指すのは完璧な介護ではなく、続けられる介護です。介護は長期戦。制度はそのための道具にすぎないと割り切って使い倒すのが、最後まで効いてきます。
なお本記事は2024〜2025年時点の一般的な情報です。個別の制度適用や金額は状況で変わるため、具体的な判断は市区町村・地域包括支援センターや専門職へご確認ください。
介護保険を取りこぼさず使うためのチェックリスト
- 迷った時点で市区町村窓口か地域包括支援センターに要介護認定を申請する
- サービスは「来てもらう・通う/泊まる・道具・住まい」の4系統で全体像を把握する
- 訪問とデイサービスを軸に、ショートステイの枠を先に確保しておく
- 高額介護サービス費の最初の一回の申請を忘れず済ませる
- 福祉用具購入や住宅改修は発注前にケアマネへ相談し手続きを踏む
- ケアマネは連絡の取りやすさ・本音のくみ取り・納得感で値踏みし、合わなければ替える
よくある質問
介護保険ではどのようなサービスが使えますか。
一般に、自宅で受ける訪問介護や訪問看護、施設に通うデイサービスやデイケア、福祉用具の貸与、住宅改修の補助、特別養護老人ホーム等への入所まで幅広く対象とされます。利用には要介護・要支援の認定が前提となり、認定区分により使える種類や量が異なります。詳細は最新の公式情報やお住まいの自治体窓口でご確認ください。
サービスを使うにはまず何から始めればよいのでしょうか。
一般に、お住まいの市区町村窓口で要介護認定を申請し、認定後にケアマネジャーがケアプランを作成する流れが基本です。働きながらの場合は地域包括支援センターが最初の相談先として頼りになります。共働きでご本人が遠方の場合も、本人の住所地の自治体が窓口となる点にご留意ください。
自己負担を抑えるにはどのような方法がありますか。
一般に、所得に応じた自己負担割合が定められ、月々の負担には上限を設ける高額介護サービス費の仕組みがあります。施設の食費・居住費の軽減制度や、医療と介護の負担を合算する制度も知られています。適用条件や上限額は改正で変わるため、最新は公式情報や専門家へご確認ください。
介護にかかる費用は所得控除の対象になりますか。
一般に、一定の介護サービス費や施設利用料の一部は医療費控除の対象となる場合があり、世帯で合算して申告できることもあります。対象となる費用の範囲は要件が細かく、年により取扱いも変わり得ます。具体的な可否は最新の公式情報や税理士へご確認いただくことをお勧めします。
文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)