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介護はいつ終わる?平均期間とお金・キャリアの『見通し』の立て方

この記事の要点

  • 「いつまで続くのか」と考えることは、親への愛情の欠如ではなく、介護を続けるために必要な設計の視点です。
  • 公的な調査では介護期間の平均は約5年とされますが、10年以上続くケースも約2割あり、平均より「分布」で捉えることが大切です。
  • 期間の見通しは、疾患のタイプと要介護度からある程度立てられます。主治医やケアマネジャーに経過の見通しを尋ねるのは、ごく普通のことです。
  • 費用は一時費用が平均約74万円、月々約8万円が目安とされ、「親の介護は親のお金で」が一般的な原則です。
  • 介護離職は年間約10万人とされます。介護休業(通算93日)は「介護をする期間」ではなく「体制を整える期間」と考えるのが現実的です。
  • 見通しは一度立てて終わりではなく、半年ごとに家族で更新する仕組みにすることで、感情が限界のときに判断せずに済みます。
終わりを考えることは、冷たさではない。介護を「続ける」ための、静かな知恵である。

「いつまで続くのか」は、誰にも言えない問い

介護には、はっきりした始まりがあります。親が倒れた日、認知症の診断が下りた日。けれど終わりは、誰にも分かりません。そして介護の終わりとは多くの場合、親との別れを意味します。だからこそ「いつまで続くのだろう」という問いは、口に出した瞬間に自分が冷たい人間になってしまう気がして、飲み込んでしまう方が少なくありません。

でも、この問いを抱くことは、親を大切に思う気持ちと矛盾しません。仕事があり、子どもがいて、自分たちの老後もある。その全体を成り立たせながら親を支えようとするからこそ、「見通し」が必要になるのです。むしろ見通しのない介護は、燃え尽きや突発的な離職につながりやすいと一般に指摘されています。

終わりを考えることは、冷たさではありません。介護を「続ける」ための、静かな知恵です。

データで見る介護期間——平均は約5年、ただし「分布」で読む

生命保険文化センターの調査(2021年度)では、介護を行った期間の平均は約5年1か月(61.1か月)とされます。ただし、この「平均5年」をそのまま自分の家族に当てはめるのは早計です。実際の分布はかなり広く、おおよそ次のような目安が知られています。

介護期間割合の目安
1年未満約1割
1〜4年未満約4割
4〜10年未満約3割
10年以上約2割

つまり、半数近くは4年以内に区切りが来る一方で、5世帯に1世帯は10年を超えるということです。また、平均寿命と健康寿命の差は一般に男性で約9年、女性で約12年とされており、この「差」が介護や支援を要しうる期間のひとつの目安になります。平均という一点ではなく、「短く終わる場合」と「長く続く場合」の両方を視野に入れた計画が現実的です。

在宅介護の月額費用の内訳(目安)
在宅介護でかかる月額費用の内訳(目安・レンジ)01234(月額・万円)介護サービス自己負担1.6〜3.2万円福祉用具・住宅改修0.4〜1.0万円医療・薬0.5〜1.5万円生活雑費・おむつ等0.6〜1.4万円月額合計の目安おおむね 3〜7万円/月

※要介護度・所得・地域・サービス内容で大きく変わります。自己負担割合もご確認ください。

期間の見通しは「疾患のタイプ」から立てられる

介護の経過は、一般に大きく二つの型で考えると整理しやすいとされます。ひとつは脳血管疾患などによる「突然始まり、階段状に変化する型」。もうひとつは認知症や老衰による「緩やかに始まり、長く続く型」です。後者は10年単位になることも珍しくなく、長期戦を前提とした体制づくりが重要になります。

ここで知っておきたいのは、主治医やケアマネジャーに「今後、どのような経過が考えられますか」と尋ねることは、まったく失礼ではないということです。医療・介護の専門職にとって、家族が見通しを持とうとするのはむしろ望ましいことであり、ケアプランを立てるうえでも前提となる情報です。

もちろん、個別の経過は病状によって大きく異なります。ここで挙げた型はあくまで考え方の枠組みであり、ご家族の見通しは必ず主治医や地域包括支援センターなどの専門職に確認してください。

お金の見通し——総額の目安と「誰の財布か」という原則

生命保険文化センターの調査では、住宅改修や介護ベッド購入などの一時的な費用が平均約74万円、月々の費用が平均約8.3万円とされます。平均期間の約5年で単純に計算すると、総額はおおよそ500〜600万円程度がひとつの目安です。ただし在宅か施設か、都市部か地方かで実際の金額は大きく変わります。

ここで最も大切な原則は、一般に「親の介護は、親のお金と親の年金で賄う」とされることです。子世帯が自分たちの教育費や老後資金を取り崩して支えると、介護が長期化した場合に世帯全体が立ち行かなくなります。まずは親の年金額・預貯金・保険を把握し、その範囲で組み立てるのが出発点です。

また、介護保険の自己負担には上限を設ける「高額介護サービス費」の仕組みがあり、医療費控除の対象になる介護費用もあるとされます。制度の適用は個別の状況によるため、具体的な金額や設計は自治体の窓口やファイナンシャルプランナー、税理士などの専門家に確認することをおすすめします。

キャリアの見通し——「離職」を選択肢の最後に置く

介護を理由とした離職は、公的な統計で年間約10万人とされます。そして一般に、介護離職は収入が途絶えるだけでなく、再就職の難しさ、厚生年金や退職金への影響を通じて、自分自身の老後資金にまで長く影響すると指摘されています。介護が終わった後の人生のほうが長い、という視点を忘れないでください。

法律上、介護休業は対象家族1人につき通算93日まで(3回まで分割可)、介護休暇は年5日(対象家族2人以上なら10日)取得できるとされます。ここで重要なのは、93日を「自分が介護をする期間」と捉えないことです。一般に、この期間は要介護認定の申請、ケアマネジャー選び、サービスの手配といった「体制を整える期間」として使うのが現実的とされています。

共働き世帯であれば、どちらか一方が抱え込むのではなく、「平日の連絡窓口は夫、週末の実務は妻」のように役割を分けて設計することも一案です。勤務先の両立支援制度は会社によって法定を上回る場合もあるため、人事部門への早めの確認が有効です。

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「見通し」を仕組みにする——半年ごとの家族会議

見通しは、一度立てたら終わりではありません。要介護度も、親の状態も、家族の状況も変わっていきます。おすすめしたいのは、半年に一度、見通しを更新する家族会議を仕組みとして持つことです。議題はシンプルで構いません。

  • 状態の見通し:現在の要介護度と、主治医・ケアマネジャーから聞いた今後の経過
  • お金の見通し:親の資産の残高と、月次の介護収支(あと何年賄えるか)
  • 分担の見通し:兄弟姉妹・配偶者間の役割分担に無理が出ていないか
  • 切り替えの条件:「ここまで来たら在宅から施設を検討する」というライン

特に最後の「切り替えの条件」をあらかじめ言語化しておくことには、大きな意味があります。介護がもっとも苦しい局面で、感情が限界の状態のまま大きな判断をしなくて済むからです。冷静なときに決めた基準が、いざというとき家族を守ってくれます。

まとめ

「介護はいつ終わるのか」。この問いを抱えることに、罪悪感はいりません。平均は約5年、しかし1年未満も10年以上もある——この分布を知ったうえで、期間・お金・キャリアの三つの見通しを立て、半年ごとに更新していく。それが、終わりの見えない不安を「管理できる計画」に変える方法です。

見通しを立てることは、親との時間を損得で測ることではありません。むしろ、計画があるからこそ、目の前の親と穏やかに向き合う余白が生まれます。数字や制度はあくまで一般的な目安です。具体的な判断は、主治医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、そしてお金についてはFPや税理士など、専門家の力を借りながら進めてください。

「見通し」を立てるための実践チェックリスト

  • 主治医・ケアマネジャーに「今後どのような経過が考えられるか」を一度きちんと尋ねる
  • 親の年金額・預貯金・加入保険を把握し、「親のお金で賄える月額」を計算してみる
  • 勤務先の介護休業・介護休暇・短時間勤務など両立支援制度を人事に確認する
  • 介護休業(通算93日)を「体制を整える期間」として使う前提で、手配のToDoを書き出す
  • 「在宅から施設へ切り替える条件」を家族で言語化し、書面に残しておく
  • 半年に一度の家族会議をカレンダーに固定し、見通しを更新する

よくある質問

介護の平均期間はどのくらいですか?

公的な調査では平均約5年(61.1か月)とされます。ただし1年未満で区切りが来るケースが約1割ある一方、10年以上続くケースも約2割あり、平均だけでなく分布の広さを前提に計画を立てることが大切とされています。

介護にかかる費用の総額の目安は?

一般に、一時的な費用が平均約74万円、月々の費用が平均約8.3万円とされ、平均期間で計算すると総額500〜600万円程度がひとつの目安です。在宅か施設かで大きく変わるため、具体的な設計は自治体窓口やFPなど専門家への相談をおすすめします。

「いつ終わるのか」と考えてしまうのは薄情でしょうか?

いいえ。仕事や家庭を含めた生活全体を成り立たせながら親を支えるために、見通しを持とうとするのは自然で必要なことです。むしろ見通しのない介護のほうが燃え尽きや突発的な離職につながりやすいと一般に指摘されています。

介護のために仕事を辞めるべきか迷っています。

一般に、介護離職は収入だけでなく再就職や年金、自身の老後資金にまで長く影響するとされ、離職は最後の選択肢と考えるのが現実的です。まずは介護休業(通算93日)や介護休暇などの制度で体制づくりの時間を確保し、勤務先や地域包括支援センターに相談することをおすすめします。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法務・税務・投資・医療上の助言ではありません。税率・控除・限度額・助成などの制度は改正により変わります。最新かつ正確な情報は公式機関の発表や専門家へのご確認をお願いします。

文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)

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