住まい・ローンのイメージ

住まい・ローン

住み替え・売却の進め方、共働きが失敗しないために

この記事の要点

  • 住み替えの勝敗は、物件選びの前に「売りと買いの順番」をどう組むかでほぼ決まる。
  • 動く前に出すべき数字は二つ。ローン残債と、今の家の査定額。差額が全ての前提になる。
  • 共働きで迷ったら売り先行。買い先行は資金と気持ちに余白がある世帯だけのもの。
  • 時間貧困を救うのは頑張りではなく構造。窓口の一本化と役割分担が効く。
  • 税の数値は2024〜2025年時点の一般的な制度。適用可否は公式情報と専門家へ。
住み替えがうまくいくかどうかは、買う家ではなく「今の家を売るのと次の家を買うのを、どの順番で進めるか」でほぼ決まります。

最初に決めるのは「どの家を買うか」ではない

就学のタイミング、二人目、在宅勤務の定着、親との距離。家を見直したくなる時期は、なぜか仕事も子育ても一番回らない時期と重なる。そして多くの人が、ここでいきなりポータルサイトを開いて物件を眺め始める。これが最初のつまずきです。

住み替えがうまくいくかどうかは、買う家ではなく「今の家を売るのと次の家を買うのを、どの順番で進めるか」でほぼ決まります。順番を決めないまま気に入った物件を見つけてしまうと、もう冷静には引き返せません。二重ローンや仮住まいといった、本来は避けられた負担を、勢いで背負うことになる。だから物件より先に、順番の話をします。

手取り月収に対する返済比率と安全圏の目安
手取り月収に対する毎月返済額の割合(単位:%)安全圏20%許容25%注意30%借りすぎ40%0ここまでが目安審査の上限ライン(額面年収の35%目安。通る=安全ではない)手取りベースで20%以内に収めると、教育費や急な出費にも備えやすい。

※一般的な目安です。最新の制度・数値・個別事情は必ずご確認ください。

動く前に出す、たった二つの数字

順番を決めるのに、複雑な計算はいりません。手元に揃えるのは数字二つだけです。

1. ローンの残債

金融機関の会員ページか、毎年届く残高証明書を見れば、いま残っている借入額が分かります。完済まであといくら。ここが出発点です。

2. 今の家の査定額

不動産会社に査定を頼むと、おおよその売却可能額が見えます。会社ごとに数百万単位で差が出るのは普通のこと。一社の高い数字に舞い上がらず、上限と下限の幅で持っておく。査定額は営業トークの入口でもあるので、いちばん高い一社ではなく、説明が具体的だった会社を信じるくらいでちょうどいい。

この二つの差、「売却額 −(残債+売却諸費用)」が、次の家の頭金に回せるざっくりの金額です。仲介手数料や登記費用で売却額の数%は消えるので、満額が手元に残るわけではありません。売却額が残債を下回る状態が「オーバーローン」。この場合は不足分を自己資金で埋めるか、住み替えローンを検討するしかなく、選べる道は一気に狭まります。だからこそ最初に、差額がプラスかマイナスかだけは見ておく。それだけで進路の半分は決まります。

売り先行か、買い先行か

進め方は二つに一つ。それぞれ得意な世帯がはっきり違います。

売り先行買い先行
進め方今の家を売ってから次を買う次の家を買ってから今の家を売る
手にする安心売却額が確定してから動ける。資金が読める納得いくまで選べる。仮住まいが要らないことが多い
抱える負担仮住まいや引っ越し二回が生じうる売れ残れば二重ローンの期間が発生する
向く世帯自己資金が薄め/確実に進めたい自己資金や収入に余裕/欲しい家が明確

判断軸は一行で済みます。売却額が確定しないと不安で動けない、二重ローンは絶対に嫌だ——ならば売り先行。つなぎ資金に余裕があり、妥協せず物件を選びたいなら買い先行。それだけです。

迷っているなら、共働きには売り先行を勧めます。理由は資金より時間です。買い先行は「早く売れなかったらどうしよう」という不安を、毎朝の通勤と寝かしつけの合間に抱え続けることになる。その心理的なコストは、見積もりに載らないぶん厄介です。先に売って現金と数字を確定させてしまえば、残った力を次の家探しに全部使える。買い先行が向くのは、二重ローンの数ヶ月を笑って払える資金力があり、かつ欲しいエリアと物件像がもう固まっている世帯だけ。そこに当てはまらないなら、自由度より確実性を取るほうが後悔は少ない。

仮住まいも二重ローンも嫌な人へ ―「同時決済」

どちらの負担も避けたい。その人が狙うのが、売却と購入の引き渡しを同じ日に合わせる「同時決済(同日決済)」です。引っ越しは一回、つなぎ資金は最小限。理屈の上では一番きれいな着地です。

ただし、買主側と売主側、二つの取引のタイミングを一日に揃える段取りは難度が高い。どちらかが一週間ずれただけで成立しません。実現できるかは状況次第なので、最初の相談で「同時決済を狙いたい」と不動産会社にはっきり伝えておくこと。後出しで言うと組み直しになり、かえって時間を失います。最初の一言が、結果的に一番の時短になります。

共働きが時間を溶かさないための型

住み替えは、内見・書類・面談と、平日昼間に動きたい場面が次々来ます。二人とも忙しい世帯ほど、「全部を二人で並走して頑張る」のは悪手。頑張りで殴るのではなく、構造で楽をする。

窓口は一人に絞る

夫婦が別々に何社ともやり取りすると、情報が割れて、同じ説明を二度受ける羽目になります。信頼できる担当を一人に決め、連絡の入口を片方に集約する。これだけで判断のスピードが目に見えて変わります。

役割を割る

片方が「お金まわり(残債・ローン審査・資金計画)」、もう片方が「暮らしまわり(エリア・間取り・内見)」。全部を二人で確認しようとせず、最終判断だけ二人で揃える。確認の往復が半分になります。

基準を、探す前に文字にする

「予算の上限」「絶対に譲れない条件を三つ」「妥協していい条件」。これを物件を見る前に紙か共有メモに書いておく。いい物件を前にすると人は必ず揺れます。先に決めた一行があれば、揺れても戻ってこられる。迷う時間そのものが短くなります。

税金で取りこぼさないために

家を売って利益(譲渡益)が出たとき、あるいは新たにローンを組むとき、税の特例が関わります。マイホーム売却益の特別控除、買い替え特例、住宅ローン控除——共働き世帯に効きうる制度はいくつもあります。

厄介なのは、要件が細かく、しかも併用できない組み合わせがあること。たとえば買い替え特例と住宅ローン控除のように、片方を使うともう片方を諦める場面が出てきます。控除額も要件も2024〜2025年時点の一般的な制度で、改正で動きます。金額の試算や適用可否は、国税庁の公式情報を確認するか、税理士・不動産会社の担当に当てる。自分たちのケースで本当に使えるかは、個別に当ててみないと分からない。ここだけは正直に、専門家を頼ってください。

残債と査定額を見比べる夫婦の手元
残債と査定額を見比べる夫婦の手元

今日踏み出す一歩

住み替えは大きな決断ですが、最初の一歩は拍子抜けするほど小さい。今日やるのは二つだけ。ローンの残高を確認すること、そして今の家のおおよその査定額を調べること。この二つの数字が揃った瞬間、売り先行か買い先行か、自分たちが取れる道が勝手に見えてきます。

順番さえ外さなければ、住み替えは怖くありません。物件を探し始めるのは、数字を手にしてから。逆ではない。資金の全体像を先に整理してから動きたい人は、無料診断で現在地を確かめておくと、その後の判断がずいぶん軽くなります。

動く前に確認する住み替えチェックリスト

  • 金融機関の会員ページか残高証明書で、今のローン残債を確認する
  • 今の家の査定を依頼し、売却可能額を上限・下限の幅で把握する
  • 「売却額−(残債+売却諸費用)」がプラスかマイナスかを見ておく
  • 資金余力と引っ越し時期から、売り先行か買い先行かを決める
  • 同時決済を狙う場合は、最初の相談でその意向を不動産会社にはっきり伝える
  • 連絡窓口を片方に絞り、お金まわりと暮らしまわりで役割を分ける

よくある質問

住み替えでは、今の家を「売る」のと「買う」のはどちらを先にすべきですか。

一般に、売却を先行させる「売り先行」は資金計画が立てやすく、二重ローンを避けやすい一方、仮住まいが生じやすい傾向があります。購入を先行させる「買い先行」は住まい探しに余裕が出ますが、旧居が売れるまで負担が重なりがちです。世帯の資金余力と引越し時期から、専門家へご相談のうえ判断されることをおすすめします。

マイホームを売却して利益が出た場合、税金はかかりますか。

一般に、居住用財産の売却益には譲渡所得として課税され得ますが、一定の要件を満たすと特別控除や軽減税率の特例が設けられています。適用条件や金額は改正されることがあり、共有名義や住宅ローン控除との関係でも扱いが変わります。最新は国税庁の公式情報や税理士へご確認ください。

住宅ローンが残っている家でも、売却して住み替えできますか。

一般に、売却代金や自己資金でローン残債を完済できれば売却は可能です。残債が売却額を上回る場合は、買い替えローンなど資金調達の選択肢を検討することになります。返済中の条件は金融機関により異なるため、残高証明と査定を揃えたうえで早めにご相談ください。

共働き世帯が住み替えで失敗しやすい点は何でしょうか。

一般に、売買のタイミングのずれによる二重負担、相場確認の不足、名義や持分・諸費用の見落としが挙げられます。共働きでは内見や手続きの時間確保も課題になりやすいものです。資金・税・スケジュールを早期に整理し、必要に応じて専門家と分担されることをおすすめします。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法務・税務・投資・医療上の助言ではありません。税率・控除・限度額・助成などの制度は改正により変わります。最新かつ正確な情報は公式機関の発表や専門家へのご確認をお願いします。

文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)

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