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共働き世帯の保険、ムダな保障を削る総点検チェック

この記事の要点

  • 保険の要否は「不安」ではなく「公的保障で足りない金額」で決める。まず遺族年金・高額療養費・傷病手当金という土台を見てから民間保険を足す。順番を逆にすると二重払いになる。
  • 共働きは死亡保険が過大になりやすい筆頭。配偶者の収入そのものが遺族保障の役割を果たすので、片働き前提の大型死亡保険はたいてい削れる。
  • 医療保険は優先度を下げてよい領域。高額療養費があるうえ、当面の医療費を払える貯蓄があるなら、残すとしても小さな掛け捨てで十分。
  • 削る順番は「死亡保障の重複→医療系の過剰→貯蓄型の整理」。最初にやるのは証券の一覧化。書き出さないと判断は始まらない。
  • 制度の数値は2024〜2025年時点の一般的な内容。最新は公式情報・専門家に確認を。
保険の要否は「不安」ではなく「公的保障で足りない金額」で決める。

払いすぎは「断る理由がなかった」から起きる

保険料が高い気がする、と感じている世帯のほとんどは、加入の経緯が「必要額を計算した結果」ではない。職場で勧められ、親に言われ、家を買ったときに不動産屋経由で案内され、その場で断る理由が思いつかなかった。たいていそれだけだ。判断力の問題ではない。保険は不安に訴える設計と相性がよく、しかも一度入れば家計の固定費として静かに居座り続ける。誰も見直さない。だから残る。

正す軸はひとつでいい。「公的保障で足りない金額だけを、保険で埋める」。会社員・公務員の世帯には、遺族年金・高額療養費・傷病手当金という分厚い公的保障がすでにある。これを把握しないまま民間保険を足すのは、すでに守られている部分にもう一枚お金を払う行為だ。確認の順番は、いつでも公的保障が先。民間はそのあと。

手取りからの世帯家計バランス(目安配分)
手取りを“割合”で配る(一例)手取り100%の配分住居28生活費25教育・こども15保険8貯蓄・投資18予備費6

※割合は一例です。住居費の重い都市部などでは配分が変わります。世帯の事情に合わせて調整を。

先に押さえる3つの公的保障

民間保険の要否は、この3つを知ってから考える。いずれも2024〜2025年時点の一般的な制度で、額や条件は世帯状況・改正で動く。正確な数字は日本年金機構や全国健康保険協会の公式情報、必要なら専門家に。

遺族年金(万一のとき)

世帯の働き手が亡くなると、残された家族に遺族年金が出る。会社員・公務員なら遺族厚生年金、子のいる世帯なら遺族基礎年金が関わる。額は加入歴・収入・子の有無と年齢で大きく変わるが、押さえるべきは一点。死亡=収入ゼロ、ではない。死亡保険の必要額は、この遺族年金と配偶者の収入を引いた「不足分」で計算する。ここを飛ばすと、必ず多めに入る。

高額療養費制度(入院・手術のとき)

公的医療保険には、1か月の自己負担に上限を設ける高額療養費制度がある。上限は所得区分で決まり、それを超えた分はあとから戻る。大きな手術や長めの入院をしても、自己負担は青天井にはならない。「医療費が怖いから」だけで医療保険を判断すると、この制度を二重で買うことになる。

傷病手当金(働けなくなったとき)

会社員・公務員が病気やケガで働けなくなると、健康保険から傷病手当金が一定期間出る。給与のおおむね一定割合が、所定の期間支えられる仕組みだ。ここで注意がひとつ。自営業者の国民健康保険には、原則これがない。会社員と同じ感覚で備えを薄くすると危ない。就業不能保険は、この期間と金額でどこまでカバーされるかを起点に考える。

共働きで過剰が溜まりやすい場所

共働き世帯は、片働き前提で設計された保険をそのまま当てはめると過剰になる。理屈は単純で、配偶者にも収入があるから、一方が欠けても世帯収入はゼロにならない。

片働きなら「働き手の死亡=世帯収入の消失」に近く、大きな死亡保障が要る。共働きは、残った側の収入と遺族年金が土台になるぶん、必要な死亡保障は小さくて済む。ところが現実には、独身時代や結婚直後に勧められた大型の死亡保険を、収入構成が変わったあとも見直さず払い続けている世帯がとにかく多い。ここは真っ先に疑っていい。

もうひとつの溜まり場が、夫婦それぞれが別々に医療・がん・収入保障に入り、世帯全体で何にいくら備えているか誰も把握していない状態だ。共働きは口座も契約も分かれがちで、重複も抜けも見えにくい。世帯単位で一枚に並べる。これが見直しの大前提になる。

保障別・残すか削るかの軸

世帯ごとに結論は変わるが、判断の「軸」は共通だ。

保障の種類主な役割共働き世帯での判断の目安
死亡保障残された家族の生活費・教育費遺族年金+配偶者の収入を引いた不足分だけ。子が小さいほど厚く、独立に向けて減らせる設計が合理的。過剰の筆頭なのでまず削る
医療保険入院・手術の自己負担高額療養費がある。当面の医療費を払える貯蓄があれば優先度は低い。残すなら小さな掛け捨てを軸に
がん保険長期治療・自由診療・収入減診断一時金型はまとまった現金が即出る点が貯蓄で代替しにくく、残す候補になりやすい。家系が気になるなら検討価値あり
就業不能・収入保障長期間働けない間の収入傷病手当金の「期間後」を埋める発想で。住宅ローンや子の教育費がある時期は価値が高い
貯蓄型(終身・学資・個人年金)保障+積立保障と貯蓄は分けたほうが見通しが立つ。途中解約の不利を数字で確かめてから整理

貫く考え方はひとつ。貯蓄で払える範囲は、保険で持たない。高額療養費の上限程度の医療費を自己資金で払えるなら、医療保険の優先度は下がる。逆に、貯蓄では用意しにくいまとまった額——子が小さい時期の死亡保障、長期の就業不能——こそ、保険が本来引き受けるべき仕事だ。順序を間違えなければ、保険料は素直に減る。

保険証券を一覧に整理する手元
保険証券を一覧に整理する手元

今日からの総点検、6ステップ

頭の中で考えるより、書き出すほうが速くて正確だ。この順で進める。

  1. 証券を全部集めて一覧にする。夫婦それぞれの保険証券を出し、契約名・保障内容・保障額・月(年)保険料・保険期間(満期や更新時期)・貯蓄型か掛け捨てかを一枚の表にする。「何に入っているか即答できない契約」は、それ自体が見直し候補だ。
  2. 公的保障の概算を確認する。遺族年金、高額療養費の自己負担上限、傷病手当金のおおよそを、公式情報やねんきん定期便で押さえる。遺族年金額は条件で変わるので、不明点は専門家に。
  3. 必要保障額を「不足分」で出す。万一のときに要る生活費・教育費から、遺族年金・配偶者の収入・現在の貯蓄を引く。残った不足分が、本来必要な死亡保障の目安。たいてい、いま入っている保障額より小さくなる。
  4. 重複と過剰を削る。夫婦で重なる医療・がん保険、不足分を超える死亡保障、目的を説明できない特約を洗い出す。順番は「死亡保障の重複→医療系の過剰→貯蓄型の整理」。
  5. 貯蓄型は解約前に必ず試算する。終身・学資・個人年金は途中解約で元本割れすることがある。解約返戻金の額・払込総額・残り期間を並べ、損得を数字で比べてから決める。「なんとなく不安だから残す」も「不要に見えるから即解約」も、どちらも数字を見ていない点で同じ失敗だ。
  6. 削った保険料の行き先を決める。目的は支出を削ることではなく、家計を最適化すること。浮いたぶんを貯蓄や資産形成に回す前提で考えると、判断がぶれない。

点検の質を下げる落とし穴

  • 「とりあえず全部解約」に走る。子が小さい時期の死亡保障、住宅ローン返済中の就業不能保障——本当に要る保障まで削ると、肝心のときに詰む。削るのは「公的保障+貯蓄で足りる部分」だけだ。
  • 不安を商品で埋めにいく。「もしも」を数え始めたらきりがない。起点は常に金額。不足分を埋める保険か、不安を慰める保険かを毎回区別する。
  • 乗り換えの順番を間違える。新契約の保障が確実に始まったことを確認する前に旧契約を解約すると、無保険期間が生まれる。健康状態によっては新規に入れないこともある。新を立ててから旧を畳む。順序は死守。
  • 一度きりで終わらせる。必要保障は、子の成長・住宅購入・収入の変化で動く。年に一度、または家族の節目ごとに見直す前提で組んでおく。

総点検の出来は、難しい知識ではなく「公的保障を起点に、不足分だけを埋める」という一本の軸を持てるかで決まる。まずは証券を集めて一枚の表にするところから。世帯ごとの不足額や保障の組み方を具体的に詰めたいなら、無料診断で現状を整理するのも手だ。なお本記事は2024〜2025年時点の一般的な制度を前提とした情報。個別の加入・解約は、最新の公式情報と保険・税務の専門家への確認のうえで判断してほしい。

わが家の保険、総点検チェックリスト

  • 夫婦それぞれの保険証券を集め、保障内容・保障額・保険料・期間・掛け捨てか貯蓄型かを一枚の表にする
  • 遺族年金・高額療養費の自己負担上限・傷病手当金の概算を公式情報やねんきん定期便で確認する
  • 必要保障額は、生活費・教育費から遺族年金・配偶者の収入・貯蓄を引いた『不足分』で出す
  • 夫婦で重なる医療・がん保険、不足分を超える死亡保障、目的を説明できない特約を洗い出す
  • 貯蓄型は解約前に解約返戻金・払込総額・残り期間を並べ、損得を数字で確かめる
  • 乗り換えは新契約の保障開始を確認してから旧契約を解約し、無保険期間をつくらない

よくある質問

共働き世帯で、生命保険の死亡保障は夫婦それぞれに必要ですか

一般に、双方に収入があり片方が亡くなっても一定の生活が成り立つ世帯では、片働き世帯ほど多額の死亡保障は要しないと考えられます。お子様の有無や住宅ローンの団信加入状況で必要額は変わるため、世帯ごとの試算が大切です。最終的な保障設計はFP等の専門家へご確認ください。

医療保険は公的保障があれば不要、という意見は本当ですか

一般に、公的医療保険には高額療養費制度があり、自己負担には月ごとの上限が設けられています。そのため貯蓄に余裕のある世帯では民間医療保険の優先度は下がるとされます。上限額は所得区分や改正で変わり得るため、最新は公式情報や専門家へご確認ください。

保障を削る前に確認すべき点はどこですか

一般に、解約後は同条件での再加入が難しくなる場合や、健康状態によっては入りにくくなる点に注意が必要です。掛け捨てか貯蓄性か、既往症、勤務先の団体保険なども含め、全体像を整理してから判断されるのが安全です。要否の見極めは専門家への相談をおすすめします。

勤務先の団体保険や付帯保障は計算に入れるべきですか

一般に、勤務先の団体保険、健康保険組合の付加給付、住宅ローンの団体信用生命保険などは、すでに備えている保障として重複を避ける判断材料になります。退職時に失う保障もあるため、継続性も含めて確認されるとよいでしょう。詳細は各制度の規約や専門家へご確認ください。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法務・税務・投資・医療上の助言ではありません。税率・控除・限度額・助成などの制度は改正により変わります。最新かつ正確な情報は公式機関の発表や専門家へのご確認をお願いします。

文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)

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