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共働き世帯の生命保険、必要保障額の出し方とよくある過不足

この記事の要点

  • 共働きの必要保障額は「遺族の支出 − 遺族年金 − 配偶者の収入 − 手元資産」の引き算で出る。世帯年収が高いほど、保険で埋める差額は小さくなる。
  • 独身時代の高額な死亡保障をそのまま払い続けている人が一番多い。ここはほぼ確実に減らせる。
  • 逆に手薄なのは、妻側の死亡・就業不能と、ペアローンの団信。ここは増やす側。
  • 保障は「子の独立まで」など期限を区切り、必要な期間だけ薄く持つ。貯蓄型に保障を兼ねさせない。
  • 遺族年金や控除は2024〜2025年時点の一般的な制度で、改正で変わる。最新は公式情報・専門家に確認を。
遺された家族がこれから使うお金から、保険以外で用意できるお金を引く。残った差額だけを保険で埋める。

共働きは、片働きと前提がまるで違う

生命保険の必要保障額は、難しい話ではない。遺された家族がこれから使うお金から、保険以外で用意できるお金を引く。残った差額だけを保険で埋める。それだけです。

共働き世帯が見落とすのは、この「保険以外で用意できるお金」が片働きよりずっと厚いという一点。配偶者にも収入があり、片方が亡くなっても世帯収入はゼロにならない。そこに遺族年金が乗る。だから保険で埋める差額は、たいていの人が思っているより小さい。世帯で年収1,200万、1,500万と稼いでいるなら、なおさらです。

それなのに、独身の頃や結婚直後に「とりあえず大きめで」と入った保障を、中身を一度も見ないまま払い続けている。共働きで一番よく見る光景がこれです。月々の保険料は固定費の中でも目立たず、引き落としに気づきもしない。だから何年も惰性で続く。

手取りからの世帯家計バランス(目安配分)
手取りを“割合”で配る(一例)手取り100%の配分住居28生活費25教育・こども15保険8貯蓄・投資18予備費6

※割合は一例です。住居費の重い都市部などでは配分が変わります。世帯の事情に合わせて調整を。

必要保障額は、この引き算で出る

電卓があれば足ります。3ステップでいい。

  1. 遺族の「これから出ていくお金」を積む。末子が独立するまでの生活費とその後の配偶者の生活費、住居費、教育費、葬儀などの一時費用。
  2. 「入ってくるお金」を積む。遺族年金、遺された配偶者自身の収入(共働きはここが大きい)、すでにある預貯金・運用資産、勤務先の死亡退職金や弔慰金。
  3. 引く。支出の合計から収入の合計を引く。プラスなら、その額が保険で備える目安。マイナスなら、もう足りている。

下の表に二列で書き出すと、自分たちがどちら側かが一目で分かります。

これから出ていくお金用意できるお金
遺族の生活費遺族年金
住居費(家賃または住宅ローン)遺された配偶者の収入
子どもの教育費預貯金・運用資産
一時費用(葬儀など)death退職金・弔慰金など

共働きは右列が厚い。だから差額、つまり必要保障額は小さく出ます。書き出してみて「思ったより右が多い」と感じたら、それが正常です。

遺族年金は「誰が亡くなったか」で別物になる

引き算の精度を一番左右するのが遺族年金で、ここが共働きの最大の落とし穴です。

公的年金の遺族給付は、亡くなった人の働き方(会社員か自営業か)、遺された人の年齢や収入、子の有無と年齢で、もらえる種類も額もごっそり変わる。ざっくり言えば、子どものいる世帯は対象になりやすい。逆に子がいない、あるいは遺された側に一定以上の収入がある場合は、受け取り方が変わってきます。

そして、最も抜けやすいのが妻が亡くなったときの備えです。妻も家計の柱なのに、遺族給付はもともと「夫を亡くした妻」を手厚く想定して作られた制度が残っている。だから夫が遺された側になると、公的なクッションが薄い。妻の保障を夫より小さく組んでいる世帯は、ここで一度立ち止まってください。妻が稼ぐ500万、600万が消えたとき、夫の収入と遺族給付だけで子の教育費まで回るか。回らないなら、それが過少です。

遺族年金の要件と金額は改正で動きます。2024〜2025年時点でも見直しの議論が続く分野なので、具体的な金額は日本年金機構など公式情報か、専門家で確かめてから引き算に入れてください。

減らせる「過剰」

共働きを見直すと、たいてい次のどれかが減らせます。

  • 独身時代の高額死亡保障の惰性継続。遺す家族がいなかった頃の保障を、結婚・出産後も同額のまま。組み直す場面をまるごと素通りしている。
  • 配偶者の収入を計算に入れていない。相手も稼いでいるのに、片働き前提の大きな死亡保障に入っている。
  • 貯蓄型保険を「保障」と数えている。保障と貯蓄が混ざった商品は、保障部分のコストが見えない。保障は保障、運用は運用で分けたほうが、どちらも安く効率よくなります。
  • 医療保障の重複。勤務先の付加給付や高額療養費でカバーされる範囲に、民間の医療保険を厚く重ねている。

保障は多いほど安心、ではない。必要な期間だけ、必要な額だけを、掛け捨ての定期保険で薄く持つ。子が独立すれば必要額は段差で下がるので、そのタイミングで減らせる設計にしておく。これが時間も家計も削られないかたちです。貯蓄型でガチガチに固めるより、定期+別建ての運用のほうが、共働きには素直に合います。

増やすべき「過少」

共働きだからこそ穴が空く備えもあります。

  • 妻側の保障不足。夫は手厚いのに、同じく稼ぐ妻の死亡・就業不能が小さい。世帯収入への貢献に見合っていない。
  • 就業不能・長期療養。亡くなるより、長く働けなくなるほうが家計を削る場面は多い。住宅ローンも教育費も止まらないのに収入だけ消える。死亡保障に偏り、ここが空白になりがちです。
  • ペアローンと団信。ペアローンや連帯債務では、団体信用生命保険が「どちらが亡くなったとき、いくら返済が消えるか」が組み方で別物になる。片方にしか団信がかかっておらず、もう片方の残債がそっくり遺族にのしかかる、というケースが実在します。

住宅ローンは保障額の土台です。まず自分たちのローンと団信がどう組まれているかを確かめてから、保険の引き算に入る。順番を逆にすると、二重に備えるか、穴を見落とすかのどちらかになります。無料のペアローン診断で、自分たちの場合の目安を確認できます。

保険証券を整理する手元
保険証券を整理する手元

見直しの手順

一気に完璧を目指さなくていい。順番どおりやれば、過不足はかなり整います。

  1. 夫・妻それぞれで、前述の引き算を一度やる。ざっくりで構わない。
  2. いま入っている保険を、種類(死亡・医療・就業不能)・金額・期間で一覧にする。
  3. 引き算で出た「必要な額・期間」と現状を突き合わせ、過剰と過少を仕分けする。
  4. 過剰は減額か解約、過少は薄く追加。ローンと団信の組み方は同時に見る。

保険の見直しは、家計の中でも効果が大きいのに後回しにされる筆頭です。一度きちんと組み直せば、あとは数年ごとの点検で済む。共働きで時間がないからこそ、土台を一度だけ本気で整えておく価値があります。

なお本記事は2024〜2025年時点の一般的な制度・考え方の整理です。税・遺族年金・控除は改正で変わるため、最終判断は公式情報や保険・税の専門家に確認のうえで行ってください。

共働き世帯の保険、見直しチェックリスト

  • 遺族の支出から遺族年金・配偶者の収入・手元資産を引き、必要保障額を夫・妻それぞれで出す
  • いま入っている保険を種類・金額・期間で一覧にする
  • 独身時代から続く高額な死亡保障や貯蓄型・医療の重複がないか確認する
  • 妻側の死亡・就業不能の保障が世帯収入の貢献に見合っているか見る
  • ペアローンと団信が「どちらが亡くなると、いくら返済が消えるか」を先に確かめる
  • 過剰は減額か解約、過少は薄く追加し、子の独立で下げられる設計にする

よくある質問

共働き世帯でも生命保険の必要保障額はきちんと計算すべきですか。

はい、共働きでも計算をおすすめします。一般に必要保障額は、遺族の今後の支出(生活費・教育費・住居費など)から、遺族年金・配偶者の収入・貯蓄といった準備済みの資金を差し引いて求めます。世帯ごとに前提が大きく異なるため、最新の制度や個別事情は公式情報やFP等の専門家へご確認ください。

夫婦どちらも収入がある場合、保障は少なめでよいのでしょうか。

一概には言えません。一方に万一があると、その方の収入が失われるうえ家事・育児を外部に委ねる費用が生じることもあり、二人分の保障を検討する考え方が一般的です。固定費(住居費・教育費)が高い世帯ほど不足しやすい傾向があります。詳細は専門家への相談をご検討ください。

住宅ローンの団体信用生命保険に入っていれば、生命保険は不要ですか。

団信は一般に、加入者に万一があった際の住宅ローン残債に充てられるもので、その後の生活費や教育費まで賄うものではありません。団信でカバーされる範囲を踏まえたうえで、残る不足分を別途検討する考え方が一般的です。契約内容により条件は異なるため、約款や専門家でご確認ください。

保険を見直す適切なタイミングはいつですか。

一般に、結婚・出産・住宅購入・転職・子の独立といったライフイベントの節目が見直しの好機とされます。必要保障額は時間とともに変化し、過剰なまま支払い続ける例も少なくありません。具体的な保障の増減は、家計と最新の制度を踏まえてFP等の専門家にご相談ください。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法務・税務・投資・医療上の助言ではありません。税率・控除・限度額・助成などの制度は改正により変わります。最新かつ正確な情報は公式機関の発表や専門家へのご確認をお願いします。

文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)

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